新型コロナウイルスによって都市機能が失われた大邱の市民51人が、この間に経験し、感じた日常について記録。それぞれ異なる職業を持つ人々による生々しい経験が綴られている。

2月18日に新興宗教の教会で集団感染が発生したことがわかると、大邱市民の日常は失われた。外出を恐れ、通りは閑散とし、多くの食堂や商店は店を閉めた。連日、数百万人単位で感染者が増え、指定病院の修羅場のような光景、人気のない通りばかりが報道された。ついには、大邱を封鎖するとか、買いだめによってスーパーには商品がないなど、あらゆるうわさが流された。

感染者は毎日、数百人単位で膨らんでいき、死亡者も増え始めた。全国から医療関係者と救急隊員が応援に駆けつけ、丁世均首相まで大邱に入って対策本部で陣頭指揮を取った。以降、大邱は全世界に注目される都市となった。

防護服を着た医療関係者が、寒い中、汗にまみれて出てくる姿、顔のマスク跡と絆創膏は、恐ろしさに震える市民に希望と信頼を与えた。当局の要請に従って外出を控え、社会的距離（ソーシャルディスタンス）と個人による衛生管理の徹底を期した。このような状況の中、市民たちは人のためにできることを探しはじめた。ともに困難に直面している隣人を配慮しはじめたのだ。