「新しい韓国文学シリーズ」第2作としてお届けするのは、若手作家キム・ジュンヒョクの短編集、言葉と音があふれだす8つの物語「楽器たちの図書館」。
「この短編集は、僕からみなさんへ贈る〈録音テープ〉です」
音の世界に魅せられて「楽器図書館プロジェクト」をはじめる表題作「楽器たちの図書館」をはじめ、ピアノ、CD、ラップ、DJなどさまざまな音が聴こえてくる短編小説8編を収録した、韓国の人気新鋭作家、キム・ジュンヒョクの短編集。
奇抜な想像力とユーモアあふれる作品で、韓国文学界でも独自の存在感を放つ作家、キム・ジュンヒョクの、これまでの韓国文学とはひと味もふた味もちがう、新しい感覚のポップな小説世界。
表題作の「楽器たちの図書館」は、2010年10月?3月、NHKのラジオ「まいにちハングル講座」応用編テキストとして学習者からも大好評で、この10月からは「アンコールまいにちハングル講座」で再放送がスタート。
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著者インタビュー「楽器たちの図書館 キム・ジュンヒョクワールド」●韓国の「いま」がわかる 「新しい韓国の文学」シリーズ
韓国ドラマや韓国映画の流行で、韓国の人々の考え方やその生活のようすなどが日本でも広く知られるようになりました。
ドラマや映画で韓国に興味をもった皆さんに、次におすすめしたいもう一つのジャンルが、「韓国の文学」。映像で表現されるドラマや映画と違い、小説やエッセイなどの形でつづられる主人公の心情や現代韓国の時代背景などは、とても味わい深く、韓国・韓国人への理解をより一層深めます。同時に、異国でありながら現代日本と驚くほど似ている部分、よく似ているように見えてまったく異なる部分なども、小説を通して感じていただけると思います。
株式会社クオンでは、「新しい韓国の文学」というシリーズを立ち上げ、いま、韓国でよく読まれている小説の中から、文学的にも高い評価を得ている作品を厳選し、日本の読者に紹介していくプロジェクトを始めます。
小説・詩・エッセイなど、2000年代に入って注目を浴びている実力派の現代作家の作品を、定期的に紹介していく予定です。
ぜひ、韓国文学の豊饒な世界を通して、隣国・韓国の「いま」を感じ、味わってください。
●著者プロフィール : キム・ジュンヒョク(金重赫)
1971年、韓国・慶尚北道金泉生まれ。啓明大学国文学科卒業。
ウェブデザイナー、雑誌記者などを経て、2000年に月刊誌『文学と社会』に中編「ペンギンニュース」でデビューした。
2008年、短編「拍子っぱずれのD」で第2回金裕貞(キムユジョン)文学賞、2010年には短編『1F/B1』で第1回若い作家賞を受賞。
創作のほかにも、インターネット文学放送番組「文章の音」の司会や、ハンギョレ新聞のコラムを担当するなど、多彩な活動をおこなっている。
短編集『ペンギンニュース』、長編小説『ゾンビたち』がある。
個人ブログ:
http://www.penguinnews.net/●訳者プロフィール1 : 波田野節子(はたのせつこ)
新潟市生まれ。青山学院大学文学部日本文学科卒業。
新潟大学フランス語非常勤講師(?2005年)。
現在、新潟県立大学教授として国際地域学部東アジアコースで韓国語、韓国文化、多文化共生論を担当するほか、東京外国語大学と大阪大学で兼任講師として朝鮮近代文学を講じている。
2006年からNHKラジオハングル講座応用編講師。
著書に「『無情』の研究-韓国啓蒙文学と光と影」(白帝社)、「日本留学作家研究」(韓国語・ソミョン出版社)など、訳書に李光洙「無情」(平凡社)、オ・ジョンヒ「夜のゲーム」(段々社)などがある。
研究室HP:
http://www.unii.ac.jp/~hatano/●訳者プロフィール2 : 吉原育子(よしはらいくこ)
新潟市生まれ。埼玉大学教育学部音楽科卒業。
成均館大学などで韓国語を学ぶ。
2008年、韓国文学翻訳院・翻訳アカデミー短期集中課程修了。
統一日報「原書を読む」隔月連載(2007年?)。訳書に「私は男より預金通帳が好き」(草思社)などがある。
個人ブログ:
http://www.cafeblo.com/koreabookcafe/