永遠に続く平和など、ありはしない。――猟奇的な想像力で紡がれた8つの物語グロテスクでありながら美しく、目を逸らしたくとも凝視せずにはいられない――容赦ない筆致で迫りくるピョン・ヘヨンワールドの傑作選。
狭いマンホールで身を隠して暮らす子どもたち(『マンホール』)、渓谷で行方不明になった妻のものとおぼしき遺体の確認をする男(『死体たち』)、マイホームを取り囲む不穏な犬の鳴き声(『飼育場の方へ』)ほか、表題含む八編を収録。
李箱文学賞を受賞した作家による、鮮烈な短編集。
【関連イベントレポ】
ハードコアなワンダーランドへようこそ~作家ピョン・ヘヨン来日トークイベント(2017年7月5日 チェッコリにて)
【著者プロフィール】
ピョン・へヨン(片惠英)
1972年ソウル生まれ。ソウル芸術大学文芸創科を卒業して、漢陽大学国文学科の修士課程修了。
2000年ソウル新聞の新春文芸に短編「露はらい」でデビュー。
短編集『アオイガーデン』『飼育場の方へ』『夜の求愛』『夜が過ぎる』と長編小説『灰と赤』『西の森へ行った』『線の法則』『The Hole』がある。
韓国日報文学賞、イ・ヒョソク文学賞、今日の若い芸術家賞、東仁文学賞、李箱文学賞、現代文学賞を受賞。
2013年より明知大学文芸創作科教授。
【翻訳者プロフィール】
きむ ふな
韓国生まれ。韓国の誠信女子大学、同大学院を卒業し、専修大学日本文学科で博士号を取得。日韓の文学作品の紹介と翻訳に携わっている。
翻訳書に、ハン・ガン『菜食主義者』、キム・エラン『どきどき僕の人生』、キム・ヨンス『ワンダーボーイ』、孔枝泳『愛のあとにくるもの』、津島佑子・申京淑の往復書簡『山のある家、井戸のある家』など、著書に『在日朝鮮人女性文学論』がある。
韓国語訳書の津島佑子『笑いオオカミ』にて板雨翻訳賞を受賞。